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学力の向上について⑰

 試験一週間前になりました。中学1年生もようやく試験の重要性に気づき始めたようです。職員室へ質問に来る生徒の数も多くなってきました。このブログもおまじないでは胡散臭い宗教みたいですから、少し脳科学からの裏打ちをしておきたいと思います。参考にしているのは、海馬(脳)の研究をしている池谷裕二さんの「記憶力を強くする」「進化しすぎた脳」「高校生の勉強法」などの著作です。

 記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。短期記憶は長期記憶から情報を引き出したり、長期記憶に情報を保管するための一時的な保管場所になっています。30秒から長くても数分しか覚えておくことができない短期記憶には容量が小さいという欠点があります。一度に記憶できる個数は7個前後であるということです。一度にたくさんのことを覚えようとしても短期記憶の容量をオーバーしてしまいます。この短期記憶から長期記憶へ移すときに必要かどうかを判定している部分が海馬です。海馬では本当に必要な情報であると判断しない限り、長期記憶へは移してくれません。歴史の年号とか英単語のような知識は生死に関わりませんから、簡単には覚えてくれないのです。ですから、海馬をだまして重要な情報であるかのように勘違いを引き起こす必要もあります。勘違いを引き起こす基本的なやり方が「反復練習」です。何度も入ってくる情報は大切であると海馬が勘違いしてくれるように学習するのです。同じ量の努力をするのならば、脳の性質に沿った良い方法を選んでください。

 明日からは各教科・科目の担当者からのアドバイスを発信していきます。教科特性だけではなく、担当者の授業に対する考え方や教育方針によって、さまざまなアドバイスが並ぶことと思います。ベクトルがぶれていて一貫性に欠けるように見えるかもしれませんが、学力を身につける方法の正解は1つではありません。自分自身にあったやり方を身につけるためのヒントが並んでいると考えて欲しいと思います。