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冬休みの読書状況から⑤

 昨日、第138回芥川賞・直木賞が発表されましたね。芥川賞には大阪出身の女流作家、川上未映子さんの「乳と卵」が選ばれていました。今日は冬休みもっとも多く読まれた指定図書「にごりえ・たけくらべ」の作者、樋口一葉について書こうと思いますが、川上さんが受賞作品を書くときに強く影響を受けたのが、樋口一葉の「たけくらべ」だったそうです。主人公の名前も「たけくらべ」から着想したようです。

 生活に苦しみながら、「たけくらべ」「十三夜」「にごりえ」といった作品を 1年半で発表した樋口一葉は25歳で亡くなったため、多くの作品を残しているわけではありません。しかし、彼女の作家としての評価は非常に高く、5千円札の肖像画にも採用される結果となりました。

 「たけくらべ」は、将来は遊女になる勝気な少女・美登利と龍華寺僧侶の息子で内向的な信如という幼なじみが、話しかけられないままにお互いを意識しながらそれぞれの道へ別れていくという内容です。下駄の鼻緒を切ってしまった信如に何も言わず端切れを投げた美登利。寂しい思いをしている美登利の家の窓に水仙を差し込んで僧侶の学校に入ってしまう信如。どちらも自分に素直になれないために、相手に思いが伝わらない歯がゆさを感じることと思います。ちょうど思春期にさしかかる中学生には心情がわかりやすいのではないでしょうか。A.M.