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生きる力をつけさせるために③

 前回は人の話を聴く力は大切だと書きました。聞いているつもりでも、聴けていない。聞き流しているということは大人の私たちにもないとはいえません。一生懸命に伝えようとしているときにそれを受け止めてもらえないと、伝える能力は育ちません。聴く力を育てるのは自分自身の意識と努力でできますが、話す力を育てるには周囲の協力が必要なのです。

 話をできるようになるためには、途中で話を遮ったり、否定したりしない、安心して話せる相手がまず必要です。でも、実際のところ、繰り返しが多かったり、何を言いたいのか分からないのでは、聞いていても苦痛ですね。幼稚園児や小学校の低学年の子どもたちを相手にしたときに経験があるのではないでしょうか。それでも聴いてあげられるのは、親密な間柄だからですね。つまり、ご家庭での親御さんがそれに該当するのです。

 もちろん、私たち教員も必要に応じて、ノンディレクティブなカウンセリング手法を取ることはあります。指示を与えるのではなく、クライアントから話を引き出していくことで、クライアント自身が課題に気付き、問題の解決をするように導くことは珍しいことではありません。いろいろな問題に直面し、悩むことの多い中学生ですが、話を聴いてあげるだけで気持ちが軽くなることも多いようです。

 授業がない今の時期、お子さまたちの話を意識的に聴いてあげて欲しいと思います。別に話すことなんてないという態度を取っているかもしれませんが、話すことがないのではなくて、話し方が分からない,話すきっかけが作れないだけのことが多いのです。今、「話す」という表現力を身につけることが、生きる上でも大きな意味を持つと思います。A.M.