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生きる力をつけさせるために⑨

 前回と同様に畑村洋太郎さんの「みる わかる 伝える」を使って、今回は「わかる」について書こうと思います。理解力とは何か、どのようにして身につけるのか、ですね。

 「わかる」とはどのようなことか、畑村さんは次のように説明しています。『目の前のものや事象を見たときや人の話を聞いたときに「自分の頭の中に持っている要素や構造」(=テンプレート)と合致するかどうかで「わかる」かどうかを判断している。』のであると。その前提として、世の中のすべてのものや事象は、いくつかの「要素」が絡み合う形で必ずある「構造」をつくりだしているとしています。「理解」とは、頭の中に要素や構造を作り上げること、そしてその要素や構造をテンプレートとして比較することであるということです。また、「学習」とは「新たなテンプレートの構築」という作業であるとも書かれています。

 小学生での勉強は「要素=知識の取り込み」が重要視されていました。それを構造化するのが中学生以降の学習ではないでしょうか。もっている要素を構造化して、頭の中にたくさんのテンプレートをつくりあげていく作業をしていくことで、新しい事象にも対応していくことができるのだと思います。
 畑村さんも触れていますが、山鳥重さんの『「わかる」とはどういうことか』(ちくま新書)が参考になるかもしれません。こちらは大脳生理学からのアプローチになりますが、読みやすく書かれていますのでお薦めです。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480059390/
A.M.