選特化学 授業の補足 6
Linus Carl Pauling 1954年ノーベル化学賞,1962年ノーベル平和賞受賞
分子の構造のまとめとして、大学入試問題に取り組んでもらいました。そこで出てきたオゾンO3や一酸化炭素COの構造はオクテット則で説明できないために苦労したようです。
まず、オゾンは酸素原子3個が結合してできる酸素O2の同素体です。構造式は次のようになります。
左側の状態と右側の状態はきわめて短い時間で入れ替わっています。そのため、実際には単結合と二重結合の中間の性質を示します。この状態を「共鳴」といい、オゾン分子は上記2つの極限構造からなる共鳴混成体として説明されます。前回紹介したVSEPR理論より、オゾン分子は折れ線型となるので、極性分子です。(中心の酸素原子が+に、両端の酸素原子が-の電荷を帯びている状態)
次に、一酸化炭素の構造式は次のようになります。
この場合もオクテット則を満たさず、共鳴構造で説明されることになります。この共鳴理論を提唱したのが、ライナス・カール・ポーリング Linus Carl Pauling です。