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選特化学 授業の補足22

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 夏休み明け最初の授業は理論化学の確認テストから始めました。問題集を一度解き直した程度では、復習にならないと分かったでしょうか。提出してもらったノートも見ましたが、半分くらいの生徒は量的に不充分でした。夏休みの間にわずか数ページで復習になるなんてありえないでしょう。

 さて、一回目の授業では、鎖式飽和炭化水素(アルカン)を扱いました。石油がさまざまなアルカンの混合物であることや、それを分留によって分けることは理解できたと思います。石油はエネルギー資源であると同時に石油化学工業の主な原料でもあります。(石油化学工業については石油化学工業会JPCAのサイトを参照してください。)そのため、石油の枯渇問題はエネルギー源がなくなる話だけではないということに気づいていますか。60数年前、第二次世界大戦中の日本でも同じ問題が起こっていました。そこで石炭の主成分である炭素をバラバラにして、ブロックのように組み換え、長い炭化水素(石油)に変える研究が行われていました。これをフィッシャー・トロプシュ合成と言います。当時は灯油や軽油までしか出来ず、重要な戦略物質であるナフサがつくられなかったようですが、現在は触媒の開発によって生成物をコントロールできるようになっています。ただ、採掘するよりもコストがかかるために、まだ本格的な実用化はされていませんが、研究は進められているようなので、いずれは現実のものとなるでしょう。