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感動三つ、これぞ雲雀丘

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校庭の大銀杏も新緑の装いを始めてきました。芝生も青さを増してきました。新高校1年生の「オリエンテーション合宿」、新中学校1年生の「自然学舎」宿泊研修を終えたばかりの生徒もまじって、校庭の昼休みはバレーボールやドッジボールに興じる生徒の声が飛びかっています。

 先週金曜日、こんなことがありました。朝の1限目の授業が始まるので、ある理科の先生が実験器具の試験管やフラスコをトレーに乗せて階段を下りてきました。その時、下の方から階段を上ってくる女の先生と出くわすことになりました。体を避けようとしたところ、誤って試験管数本を落としてしまい、階段にガラスの破片が飛び散りました。危ないのですぐに掃除に取りかかりました。

 ちょうどその時「先生は早く授業に行ってください。私がやります」と言いながら掃除の役を買って出たのが用務員の方でした。理科の先生は人任せにはできないと思いながらも、すぐに授業開始のベルが鳴るので「ごめんなさい。申し訳ない」と言いながら教室に走りました。心で手を合わせていました。用務員さんは一つ下のフロアにいましたが、かすかにガラスが割れる音を聞き駆けつけて来たそうです。そして、ほうきと掃除機できれいにあとかたづけをしました。

 次に理科の先生です。始業にはぎりぎり間に合いませんでした。生徒に遅刻をわびたあと、こんなことを言いました。「雲雀丘はすごい学校。君たちは幸せです。感激した。授業を大切にしなさいという心がみんなに行きわたっている」と言って出来事の経緯を説明しました。そして「もとはと言えば私の不注意。しかし申し訳ないという気持ちより、今は心は高ぶり、皆に一生懸命教えなければという気持ちでいっぱいです」と話しました。

 生徒は静かに先生の話を聞いていましたが、やがて自然と拍手がわき起こりました。今日の実験は都合で化学教室を使えず、通常の教室に実験器具を持ち込んでの授業でした。昨今は手間と時間のかかる実験を避ける学校が多いように聞きます。先生はどうしても実験で鮮やかに色が変わる過程を生徒に見せてやりたかったそうです。

 雲雀丘学園の目指す教育がここにあります。