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天国と地獄の長い箸

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むかし、ある男が閻魔大王さまに会いに行き、天国と地獄はどういう世界なのか聞きました。すると閻魔様は男に、天国のようすと、地獄のようすを、それぞれ見せてくれました。まず地獄では、ちょうど食事の時間だったので、人々はながーい箸をもって、大きななべの前に集まっていました。この地獄ではながーい箸で食事をしなければならない決まりなのです。

人々はながーい箸で鍋の中のご馳走をとって食べようとするのですが、あまりながーいので、どうしても自分の口にご馳走がとどきません。それでみんな、何も食べられずにおなかをすかせ、やせこけて、他の人の食べ物を横取りしようとして、けんかばかりしていました。

閻魔様は次に天国を見せてくれました。天国も食事の時間でしたので人々は地獄と同じ、ながーい箸をもって大きな鍋の前に集まっていました。天国でも、ながーい箸で食事をしなければならない決まりなのです。天国の人々は穏やかな顔をして楽しそうにご馳走を食べていました。ながーい箸でおたがいに仲良く、他の人の口に食べ物を渡しながら、ご馳走を分け合っているのです。

こうして地獄にいる人々は、自分のことばかり考えているために、いつまでもけんかをしていてなにも食べられず、天国の人々はお互いを思いやっているので、仲よく暮らせるのだと閻魔様が教えてくれました。

少し長い引用になりました。私はこの話をトランプさんに聞かせたいと思います。「アメリカファースト」、いまやこの言葉は自分だけ良ければ、あとはどうなってもいいということになっています。人類は長い歴史に中で、自国第一主義、保護主義、モンロー主義というものが悲惨な結果をもたらすことを学んできました。対して日本は「和の精神」、お互い様という寛容、助け合いの精神です。安倍首相とトランプ大統領が2月10日に会談をしますが、ぜひこんな話をしてほしいと思います。聞く耳をもたないと思いますが。

雲雀丘学園創立者の鳥井信治郎は「利益三分主義」を唱えました。企業は社会の一員であり、社会とともにある。だから事業で得た利益は会社や株主、社員のために使うだけでなく、3分の1は社会にお返ししようという考え方です。鳥井信治郎は若いころ「小西儀助商店」と言う薬種問屋で奉公をしていました。「小西儀助商店」は彦根の出で、近江商人でした。近江商人には「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」と言う考え方があります。鳥井信治郎はその精神を受け継いだものと思います。

商いは自分も相手も納得できるものであり、更に世間から見ても望ましいものでなくてはならないとするものです。近江商人は江戸の初期には全国をまたにかけ活躍をしますが、近世からこのような考えを持っていたことは誇るべきことです。トランプさんにも少しは勉強してほしいものです。