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「日本人が失ってはいけないこと」

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天候不順が続きます。今日も朝から小雨が降り、どんよりとした曇り空です。秋雨前線が日本の南岸に停滞しているとのことです。夏の太平洋高気圧が徐々に南下し、北のほうから大陸の冷たい高気圧が張り出してきます。この二つがぶつかってできるのが秋雨前線です。早く秋雨前線が南方に遠ざかり、秋らしくさわやかな毎日が来てほしいと思います。

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さて日経新聞に連載されていた「琥珀の夢」が9月初旬に終了しました。私にとっては朝の楽しみが一つなくなりました。42年間サントリーに勤務していましたので大体のことはわかっているつもりでしたが、それでも小説で初めて触れることも多く、著者の伊集院静さんが描かれる人間模様は感動的で色々教えられました。学園の先生からも「琥珀の夢」の内容について意見や質問もあり、単行本が出たので買い求め、当該の個所を読み直したり、印象的な部分を読み返しています。

ご承知のように小説の主人公の鳥井信治郎はサントリーの創業者で、雲雀丘学園の創立者。大阪・船場の薬種問屋で丁稚から身を起こし、20歳で独立。苦労と失敗を重ねながら常にチャレンジ精神を忘れず日本に洋酒文化を築いたのでした。生きた時代は明治の半ばから日清・日露の戦争と、日中戦争・太平洋戦争をへて高度経済成長に入るまで。この激動期を、日本を愛し、宗教心に満ち、陰徳を忘れず雄々しく生き抜きました。

昨今、わが国を代表する神戸製鋼所や日産自動車の不祥事で日本のモノづくりへの信頼性が揺らいでいます。どうしてこんな事態に陥っているのでしょうか。私は日本全体がモノづくりを軽視しているところに原因があるのではないかと思っています。人類の生存の根っこのところは物を作るということです。ここからすべてが派生していきます。物を作るというところをおろそかにしてはいけないのです。

パナソニック、トヨタ、ソニーなど日本を代表する企業も、創業の社長は現場で物を作っている人でした。トップがモノづくりの苦労を知り、お客様の安全安心を自らの手で必死に勝ち取ってきたから日本はモノづくり世界一になれたのです。「琥珀の夢」は日本人の生き方や日本人が失ってはいけないことなども教えていると思います。(2017.10.20)