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中学・高等学校の挑戦 ~⑥グローバル化への対応

来年度より、「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という三つのコース設置に伴ない国際科の募集を停止します。一部には、これからグローバル化が一層進展する中で時代に逆行するという意見があるかも知れませんが、決してそうではありません。今回の改訂にあたっての経緯について二回に分けて説明したいと思います。
 本校の国際科は1985年(昭和60年)、〝グローバルな視野と豊かな国際人の養成〟という趣旨で設置されました。当時の日本経済は絶好調で世界の中でも一人勝ちの状況が続き、欧米にあっても大いに日本式経営が研究されました。
そして、国内での生産・販売をはるかに上回る速度で輸出が増大し続けるという「輸出主導型」の経済成長を遂げました。これが『第一段階での国際化』であり、語学力を有する人材の養成が急務でした。しかし、日本からの自動車や電機をはじめとする大量の工業製品の流入は、現地の産業に大きな打撃を与え貿易摩擦という国際間の問題が生じることになりました。これに歯止めをかけるため、日本企業は現地での生産を加速させると共に技術移転を積極的に活発に行ないました。これが『第二段階の国際化』といわれるものです。現在多くの日本の企業は経営資源の移転を行なうという多国籍展開の形態をとっていますが、これが国際化の最終の姿ではありません。
 これからは、多くの分野においてグローバル・ワン・マーケット(世界単一市場)が形成されることになります。この結果、経営戦略の国際化という『第三段階』に入り、流通、金融、製薬、情報通信、航空機、電機、自動車等の業界において国を超えた企業の合従連衡が加速されます。人・モノ・カネ・技術の流れがこれまでの日本から世界へ向かうのではなく、世界から日本へ逆流する、いわゆる「日本国内の国際化」が進むことになります。また、同時に企業のトップに外国人が就く、外資系企業で働く日本人が増える、日本企業で働く外国人採用も増加するといった人の国際化も進んできます。
このように、今後真の意味でのグローバル人材の育成がますます必要になってくるのです。