中学・高等学校の挑戦 ~⑨学業と部活動との両立
〝来年度より新たに三つの「特進コース」を設置する〟ということを公表すると、「ついに踏み切られるのですね」「いつスタートされるのかと思っていました」「大いに期待しています」という声に混じって、「雲雀丘は進学だけを目指す学校になるのですか」とか「部活動を中止するのですか」というような質問が寄せられましたが、これは全くの誤解です。本校が目指しているのは単なる進学実績をあげることではなく、将来社会で役立つ人間を育てるということなのです。最近の風潮として何か新たなことを始めようとすると、これまでやっていたことを全て否定しなければならないというような二者択一的な考え方があるようですが、生徒の育成にとって学業と部活動は共に重要です。授業の時間数を増やすと部活動の練習や試合にある程度の制約が生じるのは事実ですが、両立させることは難しいことではありません。定時制を持つ公立高校については午後5時には全ての部活動は終了しなければなりませんが、早朝や密度の高い練習を取り入れる等の工夫をしています。また土曜日や夏休みについても部活動の時間を確保することはそう難しいことではないと思います。昔から『文武両道』という言葉がありますが、部活動を通じてはかり知れないものを得ることができます。しっかりと挨拶する、服装を整える、ルールやマナーを守る、チームワークを修得する、忍耐するといったことは将来社会に出た時に大いに役立つものです。部活動をやり過ぎたから自分の思い通りの進路が達成できなかったというのは言い訳です。また、学習する時間がないからという理由で部活動を止めた結果、かえって生活習慣が乱れてしまったという例も数多くみられます。社会に出ると自分の自由になる時間は次第に制約されることになるため、時間をいかに有効に使うかが重要になってきます。この力は密度の高い学校生活を送ることによって養成されるのです。
部活動での経験が将来の職業に結びつくということはごく少数ですが、是非学業との両立をはかり、自分なりの進路目標を達成して欲しいと思っています。
本校としても、学業と部活動の両立をはかるための様々な工夫をとりいれていきたいと考えています。