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彼岸を迎えて

わが国においては、毎年二回三月の春分の日と九月の秋分の日を中日と言い、それぞれの中日の前後3日間を合わせた一週間をお彼岸として先祖の霊を供養する習慣になっています。このため、おそらく墓参りやぼた餅と結びつける人が多いと思います。
彼岸というのはもともと梵(サンスクリット)語からきた言葉で読んで字のごとく彼の岸(向こう岸)、つまり迷いや苦しみのない世界のことであり、彼岸の時期には「悟りの世界」へわたるための実践行(修業)を行なうとされています。その実践行は一つではなく、全部で六種類あり、これらをまとめて六波羅蜜(ろくはらみつ)または六波羅蜜多(ろくはらみつた)と呼ばれています。
この六つは 布施(ふせ)他人に対して広く施しをすること、
持戒(持戒)人に迷惑をかけず日常生活の諸規則を守って人間らしく生きること、
忍辱(にんにく)苦しくてもじっと耐えること、
精進(しょうじん)あらゆる努力を惜しまないこと、
禅定(ぜんじょう)現在していることに心を集中させ、日常の一挙手・一投足を大切にすること、
般若(はんにゃ)自分本来の姿に目覚める知慧(ちえ)を理解し、上記五つの実践を支えることです。(「知慧」といわれています)
また、彼岸の入り、彼岸の明け、そして彼岸の中日という言葉が残っていることから考えると、中日をはさんだ六日の間にこれら六波羅蜜の一つひとつを実践するというのが、彼岸の起源であったとも言われています。
今、私達が住む社会は心配事や争いが絶えませんが、誰もが平和で心安らかに仲良く暮らしたいと願うのは当然です。これらの六つは、常に心がけておかなければならないことですが、彼岸のこの時期に静かに日々の行動を見直していきたいものです。