日本の常識?
(中高食堂での食券購入風景)
10月18日(水)、爽やかな秋晴れの下、全校朝礼を実施しました。部活動の表彰を行なった後、前回予告してあったインドネシアの食文化というテーマで話をしました。インドネシアの話は今回で4回目になります。当初はこれまで訪問した世界の色々な国のことを順次話していくということも考えました。しかし、気候・風土や宗教、生活習慣において日本の対極にあるインドネシアのことを集中して紹介することにより、日本という国のことを生徒達が知って欲しいという思いから一つの国に絞ることにしました。
インドネシアでは食事の際、赤唐辛子を蒸してすりつぶした《チャベ》という香辛料をふんだんに使います。初めて口にする日本人には驚くほどの辛さで、簡単にはなじめません。また、豚肉やイカ、タコ等鰭(ひれ)や鱗(うろこ)のない魚は食べませんし、日本の鮨(すし)や刺身に代表される生の魚料理もありません。私も日が経つにつれ当初はあまり口に合わず敬遠していたインドネシア料理を好んで食べるようになりました。年中酷暑の中で生活していると食欲増進のために不思議とスパイスの効いた辛い食べ物を身体が求めるようになるのです。この他にも断食月(ラマダン)、富める者が貧しい者に与えることが当たり前の相互扶助、四人まで許されている妻帯、毎日五回の礼拝等独特の生活慣習や決まりがあります。このように日本人から見れば不思議に思うことは数え切れませんが、これらのルーツを紐解くと、すべて気候風土や宗教といったものとの密接な関係が認められます。
私達には知らず知らずの間に日本人としての価値観や生活習慣が刷り込まれており、これらが「日本の常識」になっているのです。そして自分達と異なる価値観や生活習慣については非常識と考え排除しがちなのです。
しかし、これからグローバル化が進展する中にあっては、相手のことを十分理解し異質なものを受け入れるという柔軟な姿勢が必要です。
生徒達が社会に出る頃には、日本以外の人と共に生活や仕事をすることがますます増えてくることでしょう。「共生」という気持ちを育てて欲しいと思っています。
次回からは日本の文化と言う切り口で話をする予定です。