読書の薦め
10月27日から11月9日までの2週間にわたる読書週間が始まりました。
今年はこの週間が制定されてから第60回という記念すべき節目にあたっており、標語は『しおりいらずの一気読み』です。このルーツをたどると戦前にも図書週間や図書館週間という名称のものがあったようですが、戦争により中止されていました。その後昭和22年、戦火の傷跡がいたるところに残る中で《読書の力によって平和な文化国家をつくろう》という決意のもとに出版社、書店、公共図書館、新聞・放送等のマスコミが中心となって第1回の読書週間が開催されました。その時の反響は素晴らしいものがあり、翌年からは文化の日を中心とした2週間と定められ全国的に広がり今日に至っています。
私は毎日片道1時間以上の電車通勤をしていますが、車内の光景は10年前とは隔世の感があります。朝は若干新聞を読んでいる人の姿も見られますが、ほとんどの人が目を閉じて眠っていますし、夜は携帯を手にしてメールをしている人が目に付きます。残念なことに本を読んでいる人の姿は極端に少なくなってきました。いつの時代にも「子どもが本を読まなくなった」と言われ続けてきましたが、昨今の状況を見るとこれは子どもだけのことではないように感じます。
本校にも図書館があり常に多くの生徒が利用できるようになっています。先日、学年毎の本の貸し出し数を見たところ一番多いのが中学一年生、二番目が高校三年生です。中だるみの現象と共に貸し出しの総数は少なくあまり本を読んでいるようには見えません。近年、受験や映像・電子メディア等の普及に伴い読書の時間が狭められてきていますが、何といっても活字文化はメディアの基礎です。今後子ども達にも読書の楽しさを感じさせることが必要であると感じました。
また、読書週間の初日である10月27日は『文字活字文化の日』にも制定されています。半世紀以上かけて継続してきている読書週間にあたって、今一度本とのふれあいを見直し〝世界有数の本を読む国民〟と言われている日本の伝統を大切に守っていきたいものです。