日本の伝統と文化~春分の日と彼岸
3月21日は春分の日で祝日になっていますが、自然を称え将来のために努力する日と定められています。
春分は二十四節気のうちの一つであり、〝冬眠していた生物が動き出し、人の生活にも新しい希望と活力がもたらされる〟春の訪れを祝う日とされ、同時に祖先に感謝するお祭りが行なわれていました。また、春分の日を中日(ちゅうにち)として、前後三日間の計七日間を彼岸と呼び、この期間にはお墓参りに行く人も多いようです。この彼岸というのは仏教用語ですが、正しくは到彼岸(とうひがん)です。仏教では〝生死を繰り返す迷いの世界(生死輪廻・しょうじりんね)〟を此岸(しがん)と呼び、この世を離れて苦しみのない涅槃常楽(ねはんじょうらく)な彼岸に到るという意味です。
彼岸は春分の日だけではなく秋分の日の前後にもありますが、仏教の教えとして中道という考え方があり、昼夜の長さが同じで暑くもなく寒くもないほどほどの気候ということから定められたのではないかと言われています。
この時期にお供えしたり、食べたりするのが「ぼたもち」や「おはぎ」ですが、もち米とあんこで作られた同じ食べ物の呼び方が違うのは、食べる時期が異なるためです。つまり、それぞれの季節を意識して名前が変えられており、ぼたもちは「牡丹餅」、おはぎは「お萩」という花の名前がつけられています。牡丹餅にはこしあん、お萩にはつぶあんが使われており、小豆は邪気を祓(はら)うとされています。
私も今日お墓参りに行ってきましたが、多くの方がお花と線香を持参して先祖の供養をされており、日本人の心が受け継がれているのを実感しました。