生物界の共通原理
今週の総合朝礼では、「頭を良くする」というテーマで話をしましたが、生物界には「使わないものは衰える、使いすぎても衰える、適度に使えば発達する」という共通の原理があります。
まさに人間の脳もこれにあてはまります。人間の脳細胞は生まれた時から140億個ありますが、その時にはまだ眠ったままの状態です。この脳細胞が生後さまざまな刺激を受けながら急速に発達し、脳細胞間に網の目のような神経回路が出来上がっていきます。人間の頭脳が飛躍的に発達する最初の時期は3~5歳の頃です。それからも年々活動する数を増やしていきますが、多くの脳細胞が一度も活動することもなく死滅してしまいますし、いったん活動していたものも長い間使われないと役に立たなくなってきます。脳細胞は歳をとると毎日1万個くらい消滅すると言われていますが、極端に頭が悪くなるかというと、そうではなく思考力や判断力は衰えることはないようです。なぜなら頭が良い、悪いというのは実際に活動している脳細胞の数で決まるからです。
スポーツ選手は、シーズン・オフになっても一定のトレーニングを欠かしません。その理由は、運動の技術力というのは、その動きに参加する運動神経の数と神経回路の発達具合で決まり、長期間休んでしまうと急速に衰えてしまうからです。脳の神経回路も同じで使うとなめらかに活動し、使わないと錆(さび)ついてしまうのです。
そして、興味深いことに、十代に第二の頭脳発達のチャンスが巡ってきます。中学・高校では今まで知らなかった新しい知識が続々と登場してきます。これらが脳細胞に大きな刺激を与えることになり、急速に神経回路のネットワークができあがっていきます。不得意なことや嫌いなことから距離をおいている姿勢では脳細胞は活性化しません。頭をよくするためには、常に脳細胞を使うことが大切です。中学・高校時代にしっかりと脳を鍛え将来の基礎をつくって欲しいと思っています。