鯉のぼりの由来
現在、本校校舎は、中学棟、高校棟、中央棟の三つに分かれており、校長室は生徒達の教室と離れた中央棟の一階に位置しています。そのため通常生徒達が部屋の前を頻繁に往き来することはあまりありませんが、在室時にはドアを開けっ放しにしているため、昼休みや放課後には時々生徒達がやってきます。クラブや授業についての話題が多いのですが、最近は校長通信を読んでいる生徒も徐々に増えてきているようです。ある生徒から先日掲載していた「鯉のぼりの由来」について質問されましたが、「何故鯉が選ばれたのかを考えておいてください」ということを言っておきながら、その後回答していないことに気がつきました。
中国の後漢書にしたためられている故事によると、黄河上流にある竜門山を切り開いてできた大変な激流≪竜門≫を上りきった鯉は天に昇り、立身出世や商売繁盛、家内安全を司る「龍になる事ができる」と伝えられています。このことから困難ではあるが、そこを突破すれば道が開けていく関門という意味で登竜門という言葉が生まれたのです。よく〝作家への登竜門〟とか〝文壇への登竜門〟といったように使われています。また「竜門」とは、中国の官吏登用試験の事をも指し、この試験に合格した者だけがくぐることを許される門でもあり、これがいわゆる「登竜門」のいわれであるとも言われています。
古来より日本人に親しまれてきた鯉は、こうしたところから大変に縁起が良い出世魚とされ、端午の節句には男の子の健やかな成長と立身出世を願って鯉のぼりを飾るようになったのです。また、常に緑を保つ縁起の良い樹である松と共にすることで、「大松鯉=大勝利」ともいわれ、万難を排除し、成功をもたらすとされ、日本画の伝統的画題となっています。
私達は普段何の疑問も感じずに生活していますが、〝なぜ〟という気持を持つことが大切なのではないでしょうか。