中学改革について~⑤学業と部活動との両立
来年度より中学校の改革を実施するということを発表すると、「高校に続いて今度は中学改革ですね。予想どおりです。」「やっと重い腰を上げられるのですね。」「大いに期待しています。」という声に混じって、一部の人から「雲雀丘は進学だけを目指す学校になるのですか?」とか「部活動は停止するのですか?」というような質問が寄せられることがありますが、これは全くの誤解です。本校が最終的に目指しているのは〝将来社会で役立つ人間を育てる〟ということなのです。昨年度、高校に新たに三つの「特進コース」を設置するということを発表した時にも同じような質問がありましたが、最近の風潮として何か新たなことを始めようとすると、これまでやっていたことを全て否定しなければならないというような二者択一的な考え方があるようです。
本校の教育方針の第一は人間教育であり、そのために部活動の果たす役割は極めて大きいと感じています。本年度、授業の時間数を増やしたことにより部活動の練習や試合にある程度の制約が生じてきているのは事実ですが、生徒達の様子を見るとそれなりに工夫をしながら部活動を続けているようです。 昔から『文武両道』という言葉がありますが、部活動を通じてはかり知れないものを得ることができます。しっかりと挨拶する、服装を整える、ルールやマナーを守る、チームワークの大切さを学ぶ、忍耐するといったことは将来社会に出た時に大いに役立つものです。何故なら社会では、限られた時間内に複数の仕事をやりあげるということが日常茶飯事であり、一つの仕事にじっくり時間をかけてやるということは稀なのです。そのため、社会で活躍している人は例外なく時間の使い方が極めて上手い、つまり忙しい人ほど時間管理力が優れているのは間違いがありません。部活動をやり過ぎたから勉強する時間がなくて自分の思い通りの進路が達成できなかったというのは言い訳です。学習する時間がないからという理由で部活動を止めた結果、かえって生活習慣が乱れてしまったという例も数多くみられます。事前の段取りをキッチリ行なう、何事にも集中する、短い時間を有効活用する、やり遂げる等といった力は密度の高い学校生活を送ることによって養成されるのです。
本校では将来の職業に結びつくプロフェッショナルを育てるような部活動を目指しているわけではありません。一日の時間はすべての人に平等に与えられています。是非学業と部活動の両立をはかることを通じて、時間の有効活用をはかって欲しいと思っています。