中学改革について~⑦社会が求める人材(Ⅰ)
教育の役割は最終的に〝社会に役立つ人材を育てること〟と考えるなら、社会がその時々に応じてどのような人材を必要としているのかをしっかりと把握しておくことが大切です。
この60年の政治・経済の動きを見ると、わが国は戦後の混乱期、復興期を経て高度成長期において世界の奇跡と言われる大発展を遂げました。その後バブル経済の中で自らを見失い、バブル崩壊後は〝失われた10年〟と言われる低迷期を迎えもがき苦しんできました。そして、やっとこの苦境から脱却し、新たな道を模索し始めているのが現状です。また、世界の中でそれぞれの国の位置づけも変わりつつあり、今後BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)やベトナム、タイ、オーストラリア等の国々の急成長が見込まれるようになってきています。
過去の歴史を紐解くと、それぞれの時代によって社会が必要としている人材も大きく変わってきています。わが国においては太平洋戦争によって壊滅的な打撃を受け、まさにゼロからのスタートを余儀なくされたため欧米諸国に追いつくことが最大のテーマでした。そのためには、欧米の手法を真似ながら脇目もふらずに与えられた範囲の仕事を正確に効率よくこなしていくことが最重要であるとの考え方が定着し、社会もこのような人材を求めることになりました。〝出る杭は打たれる〟という言葉がありますが、この時代にあっては枠からはみ出ることはマイナスのイメージとなり、このような人は評価されませんでした。同時に、学歴によって地位や処遇(給与)が決まるという人事システムが確立された結果、大学への進学率が大幅にアップすると共に有名大学への受験競争が激化し、偏差値をベースとした知識偏重型の学校教育が定着化することになりました。これに加えて企業においても〝金太郎飴〟的な人材育成や終身雇用が主流となり、〝大量生産・大量販売・輸出主導〟に代表されるビジネスモデルが大きな成長の原動力になったのです。言い換えると学校教育や企業の人事システムによって育成された定形型の人材が高度成長を支えてきたのです。しかし、バブル経済の崩壊によって従来の仕組みやシステムが機能しなくなり、仕事のやり方を抜本的に変えなければならないようになってきました。このことは取りも直さず、社会が求める人材が変わってくるということであり、教育のあり方を見直す必要が出てきたということなのです。・・・≪続く≫