日本の水を考える~ヴァーチャル・ウォーター
人間が生存していくためには水は不可欠ですが、日本においては水に関する危機感は薄いようです。この原因は、台風の影響で世界の年間平均降雨量の1.7倍にも当たる1700ミリメートルの降雨があり、水が有り余っているという印象が強いからだと思います。しかし、20世紀は石油の世紀と言われたのに対し、21世紀は水の世紀と言われ世界中で水の争奪が起こりつつあるのです。
地球上に存在する水の総量のうち、97.5%は海水であり、淡水はわずか2.5%しかありません。しかも北極や南極の氷河、利用不可能な地下水等を除くと河川や湖、池等の使用可能な淡水はわずか0.01%なのです。しかもこのうちの大半(約3分の2)が農作物と家畜を育てるために、言い換えると食料の確保のために使われているのです。
今、日本は食糧の60%を海外から輸入していますが、これらをすべて国内で作ると膨大な量の水が必要になります。これはヴァーチャル・ウォーター(仮想水)と呼ばれていますが、輸入した牛肉や小麦、大豆、とうもろこし等を育てるために使用される水の量は年間640億トンであり、これは日本全体の農産物の生産に使われる灌漑用水の量をはるかに上回っています。言い換えると国民一人あたりでは毎日約1500リットルの水を海外から輸入していることになるのです。
参考までに作物を生産するのに必要な仮想水の量を上げると米は3.6t、小麦は2t、とうもろこしは1.9t、鶏肉は4.5t、牛肉は20tということになるようです。
このように日本は水の輸入大国であるという現実を知り、一人ひとりが食料を大切にするということを心がけていきたいものです。