日本の食を考える~食生活の西洋化
戦後数十年をかけて日本人の食生活は大きく変化しました。とりわけこの40年間で、米と魚と野菜中心の食事から畜産物と油脂が大幅に増加したということです。言い換えると「食の西洋化」が急速に進んできたのです。かつて日本の朝食は白米に味噌汁、それに漬物、納豆、梅干といったものが一般的でしたが、最近では若い人を中心にパンや牛乳が主体になっているようです。
わが国は第二次世界大戦後、国力が疲弊し深刻な食糧不足に陥りましたが、この時欧米諸国から脱脂粉乳や小麦粉が送られてきて、学校給食にあてられることになりました。その後年々米作の生産性が向上しましたが、一方で米を食べる人が少なくなり、次第に米が余るという現象が生じてきました。このため、1970年代から米の減反政策がとられるようになり、98年、99年には実に96万3000haの水田が減らされることになったのです。これは実に東京ドーム20万個分の面積にあたります。その結果、1965年度に総供給熱量の40%を超えていた米のウェイトが40年後(2005年)には20%強にまで低下することになってしまいました。また、食の西洋化により、大腸がんや生活習慣病といったものも増加傾向にあります。
米食はビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な粒食でパン食に比べて添加物がありませんし、副食として季節の野菜や魚介類や味噌、納豆、漬け物といった発酵食品を摂るということから見ても非常に健康的なものです。
現状では日本食離れには歯止めがかかりそうにありませんが、味覚は10歳までに形成されると言われていますので、子ども達に日本食の良さを少しでも伝えていきたいものです。