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日本の食を考える~バイオエタノール増産の波及

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  食料とエネルギー、これまで大きな相関がないと考えられていた二つの課題が近年にわかにクローズアップされるようになってきました。そのきっかけとなったのは、昨年年初にアメリカのブッシュ大統領が行なった一般教書演説での「バイオエタノール大増産計画」です。この内容はバイオエタノールを増産することにより、ガソリンの消費量を2割削減するというものです。併せて、バイオエタノールの使用を義務付ける新エネルギー法を成立させることも視野に入れています。バイオエタノール生産には、サトウキビやパーム油、トウモロコシ、木材等さまざまな材料が使われていますが、アメリカではトウモロコシを発酵させて精製し、ガソリンに混ぜて自動車用の燃料にするようになってきました。このため、今アメリカでは空前のバイオエタノールブームが起こりつつあります。
  しかし、この影響は単にアメリカだけの問題にとどまらず、世界的な規模での問題に発展しつつあるのです。現在アメリカは世界のトウモロコシの4割強を生産し、その四分の一を輸出していますが、この量は世界全体の輸出の実に7割を占めています。これがほとんど国内向けのバイオエタノール生産に振り向けられることになるとトウモロコシの輸入国にとっては大きな問題になります。日本もほとんど全量をアメリカから輸入していますし、飢餓に苦しむ開発途上国の人達にとってはまさに死活問題です。また、養鶏や肉牛の飼育にも影響が生じますし、作付面積という観点で考えると大豆や小麦の価格の高騰といった問題も懸念されます。
  いずれにしてもわが国の食糧事情にとっては、バイオエタノール増産の影響は看過できない事態であることを認識しておく必要があると思っています。