日本の食を考える~穀物相場の高騰
アメリカのシカゴには世界最大の穀物商品取引所があり、ここでの穀物相場が世界中に波及することになりますが、今年になってこの穀物市場において異変が生じてきています。その最大の要因は実に10年半ぶりとなるトウモロコシ価格の急騰です。これまで干ばつなどの影響で価格変動が起きることはあったものの、ここ数年は記録的な豊作であったため当然価格が下がるということが予想されていました。しかし、現実はトウモロコシの価格が上昇し、これにつれて大豆や小麦までもが高値で取引されるということになっています。
この大きな原因は、従来食料や飼料用として栽培されていたトウモロコシがバイオエタノール生産に振り向けられることになったこととトウモロコシの作付けが拡大したことにより大豆や小麦の作付けが減少するようになったことです。しかもこの状況は一時的なものではなく、これからも続くことが確実視されており、食料や畜産用飼料を大量に輸入している日本にとっては、大きな影響を受けることになります。そして、徐々に養鶏業者や肉牛等畜産農家、食用油の高騰による食品メーカー等の経営を圧迫し始めており、合理化に耐え切れなくなった結果、我々消費者にとっても製品価格の上昇という形で跳ね返ってきています。マヨネーズやハム・ソーセージ等は既に値上げされていますが、今後、ビール、パン、菓子、麺類、多くの大豆食品といった価格についても注視していく必要があるように感じています。