日本の林業を考える~森林の働き~
日本の国土面積は3778万haですが、このうち2515万haが森林であり、森林率は約67%と先進諸国の中ではフィンランド、スウェーデンと共に世界トップクラスになっています。
森林がどのような働きをしているかという点に関して、日頃から考えている人は多くないと思いますが、我々の生活には大いに役立っているのです。地表の侵食を防止する、表層の崩壊を防止する、水資源を貯留する、水質を浄化する、大気を浄化する等の貴重な働きをしており、森林の価値(経済効果)は75兆円にのぼると言われています。ところが、1960年に木材の輸入自由化が開始されてから木材の価格は長期的に低迷し、人件費をはじめとする経営コストの上昇で間伐や保育等の施業や伐採後の植林が行なわれないようになってしまいました。この結果、木材の生産量は3分の1となり自給率は87%から19%に低下、林業就業者も6分の1になり、しかも65歳以上の人が29%という状況になっています。そして、今では手入れされない森林が日本各地に散見されます。幼木を育てるためには下草を刈る、少し大きくなった木には間伐を行なう、更に大きくなると枝打ちが必要ですが、この作業を行なわないと木が太らずモヤシ状の森林になり、風害や雪害などの被害を受けやすくなります。また、ミミズやモグラ、昆虫、鳥等の小生物が育たなくなり、保水能力が低下することになるのです。
このような状況を踏まえ、企業が社会貢献の一貫として、全国約400ヶ所に「法人の森林」を設置したり、ボランティア団体が約500ヶ所に「ふれあいの森」を創る運動を起こしています。
この他にも森林には色々な働きがありますので、これからも随時紹介していきたいと考えています。