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日本の伝統と文化 ~秋のお彼岸

お彼岸

  昔から「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉があるように、例年はこの時期になると本格的な秋が感じられるのですが、今年はなお真夏日が続いています。毎年2回、春分の日ならびに秋分の日の前3日と後3日を合わせた7日間のことを彼岸と言い、今年も9月20日から彼岸に入りました。わが国ではこの期間に先祖の霊を供養する習慣になっているため、お彼岸と言えばお墓参りを思い浮かべる方も多いと思います。
  しかし、彼岸の本来の意味は「到彼岸」(梵語ではパーラミータ)であり、太陽の沈む遙か西方の彼方にある極楽浄土に思いをはせ礼拝する、ということなのです。
つまり、この時期には煩悩や迷いに満ちたこちらの岸(此岸:しがん)から悟りの世界である向こう岸(彼岸)へ渡るための実践行(修行)を行なうとされています。その実践行は全部で六種類あるため、六波羅蜜(ろくはらみつ)または六波羅蜜多と呼ばれており、彼岸の中日をはさんだ前後の六日の間に次の六つの行を実践するというものです。
 布施:他人に対して財や行ないによって施しをする
 持戒:自分を戒め、迷惑をかけず、諸規則を守る
 忍辱:苦しいことに耐える
 精進:心身を精励する、つまり努力する
 禅定:心を乱さず集中させる
 智慧:様々な修行を通し悟りの智慧を得る  
  
  これらは、彼岸だけではなく我々が常に心がけておかなければならないことばかりですが、この時期に静かに自分自身の日々の行動を見直していきたいものです。今、私達が住む社会は心配事や争いが絶えず、痛ましい事件が後を絶ちません。この六つの中でも、特に最初の「布施」を実行することにより、誰もが平和で心安らかに仲良く暮らしていきたいものです。