社会で活躍するリーダー ~逆境に打ち勝つ
松下電器産業(株)の式典にて。幸之助氏と
世界や日本の経済動向を見ると、何年かの周期で好況と不況が必ず交互に繰り返されています。不況になると物を作っても売れなくなり、その結果在庫がたまり、企業の経営が円滑に行なわれなくなります。そして、給料や賞与が下がるため家計を圧迫し、ひいては失業者も増えるといったことが起こってきます。従って誰もが不況を歓迎しないのは当然です。しかし、経営者の中には、この不況を実に前向きにとらえ会社発展のバネにしてきたというケースが多いのです。この代表的な方が松下幸之助氏ではないかと思います。
松下氏は「不況は改善、発展の好機である」との信念のもと、会社経営にあたり不況時に業績を伸ばすことにより「不況に強い松下電器」という会社のイメージを定着させました。
次に『松下幸之助不況克服の心得十カ条』を紹介します。
第一条 「不況またよし」と考える
第二条 原点に返って志を堅持する
第三条 再点検して自らの力を正しくつかむ
第四条 不退転の覚悟で取り組む
第五条 旧来の慣習、慣行、常識を打ち破る
第六条 時には一服して待つ
第七条 人材育成に力を注ぐ
第八条 「責任は我にあり」の自覚を
第九条 打てば響く組織作りを進める
第十条 日頃からなすべきことをなしておく
不況時に人が鍛えられるというのは間違いないと思います。人間はどうしても順風満帆な時には甘くなりがちです。そしてついつい努力することを怠ってしまいます。このように考えると順調な時に衰退の芽が、不調な時に成長の芽が生まれていると言っても過言ではありません。
順境時にはやがて到来するであろう将来の困難に備えて気を引き締め、逆境時にはじっと耐えて力を蓄え、好機が来るのを待つという気持で地道な努力を続けてゆくことが大切であると思います。