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社会で活躍するリーダー  ~壮大な夢を掲げる

  昭和7年5月5日 松下幸之助氏は全従業員を集め、250年後には「水道の水が無尽蔵に流れるごとく、生活物資をどんどん生産して、安価な商品を世の中に提供する企業にしよう」という壮大な経営計画を発表しました。これが有名な「水道哲学」と言われているものであり、この日を松下電器の真の使命を知った日(命知)として「創業記念日」に制定しました。
  このような計画を発表すると通常は誇大妄想で実現不可能なものだというように思われますが、それが本当に実現できるかもしれないという夢を抱かせたところに比類なき優れた人間洞察があります。このとてつもない計画を夢物語に終わらないためには、従業員一人ひとりが目標達成への可能性の道を信じられるかどうかにかかっているのは当然です。そこで、松下氏はこの計画を10節に細分化し、25年という期間をひとつの単位としたのです。そして、この25年を更に3期に分け、第1期の10年を「建設期」、第2期の10年を「活動期」、第3期の5年を「社会への貢献期」と位置づけています。
  これを見ると最初は詳細な計画を描き、先に行くほど内容はぼやかせたものになっています。要は最初の第1期を着実に踏み出させるために従業員の気持の結集をはかろうとしたのです。生真面目なリーダーはなかなかこのような雄大な夢を描くことができません。理性で考えてすぐに実現不可能だと否定してしまいますが、ここに誤算があるのです。夢を実現するためには人の感情に働きかけ、やる気を起こさせることが必要であり、これらの夢を持続させるためには目標到達のためのプロセスを明確にしていくことが大切です。
  社会で活躍する優れたリーダーは、このような壮大な夢を掲げ、繰り返し語りかけると同時にプロセスを明確にすることによって人心の結集をはかっていく能力、言い換えるとベクトルを合わせる力にたけて身につけているとのではないかと思っています。
  次は本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏の話を紹介します。