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これからの日本を考える~高い経済成長を見せる国々~

エネルギー自給率

  これまで世界経済を牽引してきたのは、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスといった先進5カ国(またはこれらにカナダ、イタリアを加えた先進7ヵ国)であり、G5やG7といった蔵相・中央銀行総裁会議の開催を通じて、世界経済の安定化がはかられてきました。ここ数年、これらの国の経済は低成長を続ける一方で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やこれらに続くVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)などの国々が軒並み高い経済成長率を示すようになってきました。これらの国の経済が発展するにつれ、当然のことながら、人々は豊かな生活を求めるようになります。この結果、今まで以上に食料や資源を必要とするようになり、環境問題も看過できない状況になりつつあります。とりわけ、中国とインドは共に10億を超える人口を有しており、今後ますます「食料」「水」「エネルギー」を大量に費消することになります。従ってこれらをめぐる獲得競争の激化が、21世紀の世界が抱える大きな課題になってきます。
  国土も狭く、大した資源もなく、食料・原材料・エネルギーのほとんどを輸入に頼っている日本ですが、今はまだ経済的に高い位置にあるため、食糧や資源の輸入に大きな不自由はしていません。しかし、日本経済の国際的評価は90年初頭をピークに年々低下しており、このまま国際競争力が低下すると、国として立ち行かなくなる可能性があります。先進国のほとんどが食糧を自給しているのに比べ、日本は食料自給率が約39%と群を抜いて低く、エネルギー自給率に至っては約18%(原子力を除けばわずか4%)しかありません。経済力が低下し外貨がなくなれば当然の結果として、これらの輸入が困難になります。エネルギー不足は経済を低迷させ、生活も悪化することになるでしょう。今の豊かな生活に慣れてしまった我々が今さらエアコンや自動車のない生活に戻れるでしょうか。そしてさらに、食糧は手に入りにくくなり、食べる物の心配までしなければならなくなるかもしれません。今後10年・20年先に今と同じような生活が保たれる確証はどこにもないのです。
  今、我々はBRICs・VISTAをはじめ、世界の情勢について注視しておかなければなりません。これらの国は技術的にも前を走る国々に追いつき追い越そうとしています。そして、何よりも人々のやる気やエネルギーが満ち満ちており、若者達の知識や技能を修得しようとする意欲はすさまじいものがあります。現在の日本は技術立国としてまだまだ優位にありますが、今後は相当努力していかなくては、この地位は保つことができません。
  次回以降、これらの国々の現状や将来と、日本との関わりを紹介していきたいと思っています。