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地球環境を考える~砂漠化の進行~

  今、地球上で砂漠化の影響を受けている土地の面積は37億ヘクタールで、実に全陸地の約4分の1、耕作可能な乾燥地域の約70%にあたっています。そして、世界人口のうちの6人に1人がこの影響を受け、毎年日本の九州と四国を合わせた土地が砂漠化しているのです。
  砂漠化の原因は、人為的なものと気候変動によるものの二つに分けられますが、圧倒的に森林の伐採や放牧、灌漑といった人間の手によるものが大きいウェイトを占めており、かつては樹木が生い茂る森であったケースが多いのです。
  近年、隣国である中国でも砂漠化が急速に進行してきています。この20年間で毎年、東京都の面積を超える土地が砂漠化してきており、その面積は国土の約3分の1に達していると言われています。この砂漠化の進行がとりわけ深刻なのは「黄土高原」ですが、ここは中国の内陸部ではなく北京からわずか280kmしか離れていない地域です。つまり、大都市のすぐ近くで砂漠化が進行しているのです。
  中国の歴史を遡ると、黄河のほとりに位置する西安(長安)には、漢(前漢・後漢)王朝が400年にわたり都を築いていました。漢民族は人口増に対応するため、森林を伐採して耕地化しました。また歴代の王朝もこの動きを加速していきましたが、とりわけ明の時代には万里の長城のレンガを焼くために大量の木が伐採されたようです。そして、今日にいたるまで、なおも森林破壊が続いてきています。
  植物と土と水は相互に保ち合う関係にあります。植物は土に根を張ることにより、土を流れにくくする。土はその保水力で水分を保ち、植物に養分を与える。植物が刈り取られた土地は風食や水食の影響を受けやすくなり、水分を保つ力が衰え、植物も育つことができなくなります。
 砂漠化というのは、人間が農業や牧畜に使っていた土地が減るということであり、食糧不足等生活条件の悪化をもたらすことになるということを認識しておかなければなりません。