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地球環境を考える~水の世紀~

地球の水

  20世紀は石油の世紀でしたが、21世紀は水の世紀であるといわれています。水によって世界がよりよくなる、という事ではありません。むしろその逆で、水をめぐって争いになる、といった意味を持っています。2025年には世界人口の40%は深刻な水不足に陥る、と予測されています。
  地球は“水の惑星”と言われるほど水の多い天体です。なぜ水不足が起こるのでしょう?実は地球上に存在する水のうち、その97%が海水で淡水は3%程度しかありません。しかもその大半が北極や南極の氷という形で存在しているため、湖や河川、地下水といった生活に利用できる形での淡水は地球全体の水の1%にも満たないのです。水の惑星と言われながら、人に恵みを与える水はその中のわずかでしかないのです。
  世界の水使用量のうち60%以上が農業用水です。今後、世界中で人口が増加するに従い、食糧の増産が課題となりますが、それは即ちより大量の水を必要とする、ということになります。一般に1トンの穀物を得るために1000トンの水が必要と言われています。
  2025年には世界人口は80億に達しますが、人々の食糧を確保するために必要な水量は、ざっとナイル川10本分というとてつもない水量になります。無理な水の消費は環境破壊をもたらします。その例として、環境破壊の中でも20世紀最大と言われる、アラル海の枯渇があります。アラル海は現カザフスタンとウズベキスタンにまたがる少量の塩を含む湖です。かつて世界第4位の面積を誇っていたアラル湖はこの半世紀の間に、水量の80%を失い、大きさは40%程度に縮み、水面は15mも低下しました。これによって周囲の水不足はもちろんのこと、漁業や交易は廃れ、湖が干上がったことで雨が降らなくなり、周囲の緑は枯れ、人々の生活までも失われることとなりました。この悲劇の要因は、旧ソ連によって行なわれた、不毛の砂漠を緑の農地に変える計画でした。今後もこうした自然破壊が、食糧確保という目的のために起こる恐れがあります。ひいては国家間で水の獲得競争が激化し、よりひどい環境破壊、生活破壊を引き起こす可能性があります。国境を接する国々にとって、水はまさに限りある“資源”なのです。