地球環境を考える ~食糧問題3~
日本の食糧問題は地球の環境とは切り離して考えがちですが、実は密接な関係にあります。主なものとしては、運送に使う膨大なエネルギー、食糧生産国における環境破壊、日本における生ごみ処理問題、棚田の消滅による荒廃地の増加等があげられます。
日本は多くの食糧を遠く離れた国々から輸入しているため、飛行機や船に使う燃料は膨大な量にのぼり、大量のCO2を発生させることになります。以前にも取り上げたフード・マイレージ(食糧の輸入量と輸入相手国との距離を乗じたもの)は世界の国々の中で突出しています。また、日本に輸出される食糧を生産するために森林の伐採等が進んでいるのです。一例を挙げるとわが国における海老の消費は40年前の100倍になり、世界輸出量の3分の1を占めていますが、この海老の養殖のために南洋においてはマングローブの森が次々と伐採されているのです。
このような大きな犠牲を払って輸入した食糧にもかかわらず、約3分の1にあたる2000万トンを廃棄しています。この残飯の総額は実に11兆円であり、処理費用に2兆円という膨大なコストがかかっているのです。そして、これらの残飯は生ごみとして焼却され更にCO2を発生させることになります。このような状況を食糧難に陥っている国の人達が見ればどのように感じるでしょうか。食事の前に「いただきます」と手を合わせるのも、すべての生物の命をいただいているという感謝の気持からなのです。今、我々がすぐにできることは“食べ物を粗末にしない”ことであり、生ごみを発生させないことではないでしょうか。