« キャリア教育~職業人に学ぶ~ | メイン | 地球環境を考える~キューバの有機農業2~ »

地球環境を考える~キューバの有機農業~

キューバ

  現在の日本が抱えている食糧問題を解決するためにはどのような方法があるのか、このためのヒントを与えてくれる国があります。
  この国はアメリカのすぐ南に位置するカリブ海最大の島、キューバです。面積は11万平方kmと、日本の本州の約半分で、人口は約1100万人。1492年、コロンブスにより発見されて以来、長くスペイン領として支配され、やがて形だけの独立のもと、アメリカの支配下に入ります。しかし、1950年代のキューバ革命後はアメリカを排除し、ソ連をはじめとする共産主義圏につくことになり、1962年には、核戦争への発展まで危惧された、キューバ危機で全世界を騒然とさせました。その後、1991年、キューバにとって生死を分かつ世界史的事件が起こります。それはソビエト連邦の崩壊という衝撃的な出来事でした。
  当時のキューバは、エネルギー資源・生活物資、そして食糧のほとんどをソ連や東ヨーロッパからの輸入に頼っており、食糧自給率はわずか43%でした。つまり現在の日本と同じ状況でした。当時農地で栽培されていたものの多くは、キューバ経済を大きく支えていた輸出用のサトウキビでした。しかし、その砂糖製品の大輸出先であるソ連が崩壊したことで、経済的に追い詰められていったのです。アメリカに経済封鎖されていることもあり、ソ連崩壊後の混乱の中で、キューバは深刻な食糧難に陥りました。キューバは優れた農業技術を持っていましたが、燃料である石油が不足するようになったため、農業機械を動かすこともできなくなり、それまで使っていた化学肥料や農薬も当然入ってこなくなってしまいました。
 このような中で、カストロ首相が提唱したのは、国家規模での有機農業と都市農業を推進する体制づくりでした。そして、約10年の歳月をかけ見事に環境保全型の有機農業国キューバとして生まれ変わったのです。どのような取り組みを行なったのでしょうか。
  この具体的な取り組みについては、次回以降に紹介します。  ≪続く≫