家庭での食育~⑪まごわやさしい~
最近脳の研究が進むにつれて、外的要因や食物と脳との関係が次第に明らかになってきました。集中力に関してはこめかみの上あたりの脳が強くかかわってきていることや、脳を働かせるには「セトロニン」や「ド-パミン」という脳内物質が必要であることが解ってきています。朝日を見たり浴びたりすることは、セロトニンの分泌を高め、脳を活性化させ、逆にセロトニンが不足するとマイナス思考やうつ病になりやすいようです。実際に北欧などでは、日照時間が短くなる冬季にうつ病が増えるということも確認されています。
また、ドーパミンが不足すると、やる気や欲求が低下し、楽しさや幸せを感じなくなるようです。
そして、何よりも注目したいのは、脳の働きには食事が強く影響していることが解ってきたのです。つまり、食べ物が脳を作り、脳を働かせるということです。脳はその大きさに似合わないほど多くのブドウ糖をエネルギーとして消費しています。そして脳を育て、脳を働かせるには、バランスよく多くの食品を摂取し、脳に十分な栄養を供給することが大切です。
昔から脳に良い食べ物の頭文字を取った「まごわやさしい」という言葉がありますので紹介します。
ま:豆類(豆腐、味噌、納豆)・・・たんぱく質やミネラル
ご:ゴマ類(木の実など)・・・脂質やミネラル
わ:わかめなど海藻・・・ミネラル
や:野菜・・・ビタミンやカロチン
さ:魚・・・たんぱく質やDHAなど
し:しいたけ(きのこ類)・・・ビタミンDや食物繊維など
い:いも類・・・炭水化物や食物繊維
日本においては古来より、これらの食物が日常の食事の中心でした。ところが、現在これらの食物は家庭の食卓から徐々に姿を消しつつあり、また、子ども達にとっても苦手なものが多いようです。
かつて、日本の子どもの頭が良いのは魚を食べるからだ、と言われていましが、魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)という、脳細胞を活性化させる栄養素が多く含まれているのです。
近年、崩壊しつつある素晴らしい日本の食文化を、各家庭において、今一度見直すべきではないでしょうか。