家庭での食育~⑩旬の野菜を食べる
今我々が食べている野菜は、外見は同じでも一昔前の野菜とは異なります。
40年前と比べるとホウレン草に含まれるカルシウムは1/2、ビタミンは1/3、大根に至ってはカルシウム・ビタミンとも1/8にまで減っています。
これは、土の中のミネラルバランスが崩れたのが大きな原因と言われています。古来より田畑には人間や家畜の排泄物や稲わらなどが撒かれ、そうすることで元素が循環し、肥沃な土壌を作り上げてきました。それが化学肥料を多用するようになってから、土壌の質が変化してしまいました。化学肥料に多く含まれる窒素やリン酸、カリは過剰摂取になる反面、微量なミネラルは欠乏する状態です。それはそのまま作物が吸収することになり、最終的には我々が摂取することになります。
また近年、年間を通して野菜や果物が販売店の店頭に並べられ、季節感が失われることになってしまいました。しかし、これらは旬の時期に摂取することが特に大切なのです。
「旬」というのは、単にその時期に多く採れるという意味だけではなく、すべての食物は旬の時に最も生命活動が盛んになるため、多くのものは味も良くなり、栄養価も格段に上がります。例えば、冬どりホウレン草には、夏どりのものに比べ3倍ものビタミンCが含まれています。
イチゴ、トマト、リンゴ、ミカンをはじめ多くの野菜や果物などは温室栽培や季節が逆である南半球からの輸入によって、ある季節にしか無いはずのものが一年中食べることが出来ますが、健康的にはあまりすすめられることではありません。〝食卓の都合で自然を合わせるのではなく、自然の都合に食卓を合わせる〟といった姿勢が大切であると思います。