卒業生に贈る~正しいものの考え方
稲盛和夫著(サンマーク出版)
高校の卒業式では、来賓の方々から祝辞をいただきましたが、いずれも卒業生のこれからの人生にとって有意義な内容であり、紹介したいと思います。
社会が最も必要としているのは、能力があってやる気のある人間ですが、反対に最も嫌がられるのは、能力があってやる気のない人間です。能力がない人間は概して謙虚で必死になって取り組もうとしますが、能力があるにもかかわらず、いつも物事を斜めから見て批判するばかりで行動に移さない人がいます。
このような人は、チームで仕事をする際にも建設的な意見を出さないため、チームワークを乱すことになり、「評論家」と呼ばれて全く評価されません。
実社会では単に批判するだけではなく、代替案を出すということが必要なのです。しかし、これ以上に大切なのは、『正しいものの考え方』です。能力とやる気があっても考え方が間違っていれば、すべての行動は反社会的なものになり、世の中のためになるということはありません。
京セラやKDDIの創業者であり、「盛和塾」の塾長として人材の育成に心血を注いでおられる稲盛和夫氏も、人生や仕事の結果について次のように語っておられます。
〇人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力。
〇能力とは才能や知能といった「先天的な資質」
〇熱意とは情熱や努力といった「後天的な資質」
〇考え方とは哲学や思想、倫理観といった生きる姿勢、
それらをすべて包含した「人格」
そして、能力と熱意は〝0点から100点まで〟の点数であるが、考え方については〝マイナス100点から100点まで〟が存在する。
これから、卒業生の皆さんは、正しいものの考え方をしっかりと身につけて是非、世のため、人のため、未来のために貢献して欲しいと思っています。