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家庭での食育~⑭米食の薦め

稲穂

 米は、小麦・トウモロコシと並ぶ、世界の三大穀物のひとつです。主に中国・インド・ベトナム・タイといったアジア圏で生産され、消費されています。日本に大陸より伝わったのは縄文時代の中ごろからと言われており、長い歴史において、主食とされてきました。現在、わが国の食糧自給率は39%しかありませんが、米だけは唯一自給できている(約95%)食品であり、日本の食文化の大半が、この“米”を中心に成り立っています。

 米は、たんぱく質・ビタミンB・Eやミネラルを含む総合栄養食品で、パンよりもカロリーが低く、さらにゆっくりと消化されるため、腹持ちが良く、つまり満腹感が持続しやすいため、スポーツの試合や試験など長時間の活動に向くのです。
 胚芽や外皮(ぬか)を残した玄米には、白米と比べてリン・カリウム・マグネシウム・亜鉛といったミネラル、ビタミンE、食物繊維がさらに多くなります。玄米は「完全食」と呼ばれるとおり、ほぼこれだけで必要な栄養素の大半を摂取することができると言われています。我々が日常口にしている白米はこれらを除去したものであり、栄養価は低いのです。
 しかし、逆に健康面で気になるのが米を栽培する際に使用される農薬等の問題です。玄米は白米に比べて、より外側も食べることになるので、多くの残留農薬を摂取する可能性があるとも言えるのです。そして、健康面を考えると無農薬や有機栽培などの米ということになりますが、手間隙がかかるため価格が高くなるという欠点があります。
 現在、世界的な小麦の価格上昇により、パンやうどんをはじめとした食品が相次いで値上げされてきており、米食への回帰が叫ばれていますが、農業従事者の高齢化や減少といったこともあり、簡単に解決することは出来ません。
 こういった複雑な問題と向き合っているのが、現在の日本の食糧事情の難しさであると言えるのです。