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本格的な春の訪れ~啓蟄

二十四節気

  昨日の新聞各紙には「啓蟄」という言葉が出ていましたが、これは〝冬篭りの虫声を啓(ひら)く〟とされ、冬眠していた虫たちが活動を始める、という意味です。
  日本には四季があり、刻々と季節が変化していくため、季節の移り変わりを映した『二十四節気』という暦があります。これは一年を二十四の節に分けたもので、美しい言葉で表現されており、年によって少しずつ異なっています。
  大きく分けると、季節は春夏秋冬の四つに分かれ、それぞれの季節に六つの節があるということになります。馴染み深いものは、春分、夏至、秋分、冬至と各季節の始まりとなる立春、立夏、立秋、立冬ですが、この他に十六の節があり、その中の一つが啓蟄です。
  二十四の最初の節気は「立春」で、次が「雨水(うすい)」、「啓蟄」、「春分」となります。雨水というのは雪やあられが雨に変わり、氷や霜が溶け始めるという意味で、毎年2月19日頃です。今年は雨水を過ぎても降雪が続いていましたが、さすがに「啓蟄」を過ぎると本格的な春が近づいてきたように感じます。これから昼と夜の時間が等しくなる3月20日の『春分の日』までは、徐々に気温が上がり、草木の新芽が吹き出し、蕾が膨らむ等、生物の活動が活発化してくることでしょう。

  また、二十四節気には、それぞれ初侯、次侯、末侯の三つの候が配置されており、七十二候と呼ばれ、約5日ごとの気候の変化を表しています。
初侯は「啓蟄啓戸=ちっちゅう こをひらく」で、〝冬篭りの虫が出てくる〟。次侯は「桃始笑=もも はじめてわらう」で〝桃の花がはじめて咲き始める〟。末侯は「菜虫化蝶=なむし ちょうとけす」で〝青虫が羽化して紋白蝶になる〟という意味です。
  最近では、農業人口の減少と共に二十四節気や七十二侯は余り使われなくなってきましたが、このような情緒豊かな表現が盛り込まれている日本の暦は実に味わい深いものがあるように感じています。