間違った子育て指針
昨日、幼稚園の保護者の皆さんにお話した内容の中で、特に大切だと思われる〝間違った二つの子育て指針〟について触れておきたいと思います。
その一つ目は、『子どもの目線で対処する』というものです。この考え方の前提にあるのは、子どもの立場に立って子育てを行なうというということですが、ともすると「大人の論理を押し付けない」「子どもの望むようにしてあげる」「嫌がることはさせなくても良い」ということになります。このように子どもを甘やかせてしまうと、なんでも自分の思いどおりになるというわがままな子どもに育ってしまいます。また、最近は一人っ子が増えてきているため、極端な場合にはお父さんとお母さん、それぞれのお祖父さんとお祖母さんの6人が一人の子どもに関わり合うことになります。この結果、子どもは家の中では王子様、王女様になってしまい、最も居心地が良い場所ということになってしまいます。ところが、家庭の外に出ると、当然のことながら集団生活が待っており、多数の中の一人になります。家庭でのように特別扱いされることはありません。これが子どもにとっては我慢できないという状態になってしまい、ひいては不登校や問題行動に結びつくことになります。
二つ目は、『大人と子どもは対等の立場にある』というものです。最近の親子の関係を見ていると、あたかも友達であるというようなケースも目に付きます。大人と子どもが対等なら、先生と子どもも対等、つまり友達先生ということになってしまいます。友達先生は最初のうちは子どもにとって人気があるかも知れませんが長続きはしません。教育にとって大切なことは、良いことと悪いことをしっかりと指摘することであり、好きなようにやらせるということではありません。
この二つは、一見正しいように見えますが、間違った子育て指針なのです。年齢に応じて「して良いこと」と「してはいけないこと」の線引きを明確にすることが大切だと思います。