自学自習の習慣づくり
世界には勉強したくてもできない、学校に行きたくても行けないといった子ども達が数多くいます。これに比べて日本ではほとんどの生徒が高校に進学し、半数以上が大学進学する等学校に行くのが当たり前ということになっています。昔のように苦学して高校や大学を卒業したという話も最近ではほとんど聞きません。
また、幼児期から習い事や塾通いをしている子ども達も多く、与えられることに慣れ切てしまっています。そして、自分の意思というより親の意思でひたすら大学受験を目指すということになっているのです。言わば〝水をたっぷり含んだ脱脂綿〟という状態になっており、新たな水を吸収することができなくなっています。この結果、勉強が楽しいものではなく苦痛に感じる生徒や何のために勉強するのかという意義が解らなくなってしまっている生徒も出てきています。かつて〝地球が100人の村だったら〟という本が出版されましたが、この中には大学に進学できるのはたった1人であり、文字が読めない人が70人ということが紹介されています。
昨今の傾向として、自分自身で考えずにすぐに答えを求めるという傾向も強いようです。これは学校に限らず、一般の社会においても同じようです。しかし、すぐに答えが示されるとその時には解ったように思いがちですが、実際には自分のものになっていないことが多いのです。本当の力をつけるためには、自分で苦労して学び考え抜くということが不可欠です。
〝教育というのは英語ではeducation と言いますが、この意味は外に引っ張り出すということです。西洋の諺に〝馬を湖のほとりに連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない〟というものがありますが、教師や保護者の役割は子ども達が自分で水を飲める「自学自習」の習慣を身につけるように指導してあげることではないかと思っています。