企業から見た科学技術力の課題
昨日、講演いただいた楠見雄規氏は松下電器産業のコーポレートR&D戦略室の室長であり、産学連携推進センター所長も兼務されています。R&DというのはResearch & Developmentの略で研究開発ということです。同社では「お客様の満足」という視点に立ち、それをテクノロジーで実現するために「指きたすネットワーク社会の実現」と「地球環境の共存」という事業ビジョンを掲げて積極的にR&Dイノベーションに取り組んでおり、その要となるのがコーポレートR&D戦略室です。それだけにお話の内容は、日本におけるグローバル企業が抱える課題や今後の日本の進むべき方向について核心をついたものが数多くあるように感じました。
〝日本の科学技術競争力の推移を見ると、研究投資額はそれなりのレベルにある。しかし、民間頼りの結果、目先の成果への投資偏重ということになっており、世界に先立つ技術が育っていない。他の研究者から参照されるレベルの研究が少なく人材が育っていない。このまま国内人材中心でグローバル成長ができるかどうかは疑問である。日本はこれまで高度な科学技術力によって産業立国としての地位を築いてきたが、まさに危機的状況になりつつある。ゆとり教育や大学独立法人化(国費削減+民間依存)の施策は科学技術力の低下に繋がっているのではないか。〟
更に、日本の教育への期待として多くの話をいただきましたが、この内容については、改めて紹介したいと思います。
≪続く≫