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企業から見た日本の教育への期待

  先日の講演の中で、楠見氏からは日本の教育への期待という切り口での話がありましたが、これから日本が国際社会で生き残っていくためには、高度な科学技術力の養成が不可欠であるというグローバル企業としての危機感がひしひしと伝わってきました。
  この中で、指摘されたのは〝青少年が科学技術に興味を持つために重要なこととして、教育制度や授業の改善、自然とのふれ合い、処遇改善による研究者のイメージアップ、地域や家庭での育成に関する認識の向上が必要なこと。また、研究者という道に進むにあたって影響を受けたのは大学や高校・中学時代の恩師、憧れの技術者や科学者、親・家族・親戚といった人に関するものが多いこと。
  更に、国際競争力のある科学技術人材・モノ作り人材の資格要件としては「相手を思いやる心」「(相手の)課題を課題として認識する力」「課題解決に向けて論理的に考える力」「真理・原理、そして科学技術への探究心」「(海外の方との)ディベートに負けない根性」「語学力」「国際社会の中での日本への誇り」が必要なこと。ゆとり教育の実施('98~'07)は日本の競争力伸張の観点では空白の10年を生んだこと。
  最後に、教育現場と企業の期待に乖離はあると思うが、国際競争力の確保なくして、国際社会の中での日本の存続(貿易収支の確保による国民生活の維持)はありえない。企業として期待するのは大学や大学院のレベルアップであるが、そのためにはまず大学以前の段階での準備が重要であり、技術が高度・複雑化している現在、より早期に科学技術の基礎学力を身につける必要があること。〟等です。
これらの指摘は実に核心をついており、我々教育を担当する者についても傾聴に値するように感じました。
  大きな国土やこれといった資源もない日本が世界で認められていくためには、産業立国としての強固な基盤を築き上げていくことが不可欠ですが、その核となるのは何と言っても人材です。これからはまさに世界各国を上回る教育のレベルアップが必要であり、我々教育を担当する者は日本の将来を担っているという強い志を持たなければならないと痛感しました。