学校改革にあたって~グローバル化への対応
本校では高校のコース制の導入に伴い「国際科」の生徒募集を停止しましたが、これからますますグローバル化が進展する中で、時代の流れに逆行すると思われる方もあるかも知れません。しかし、これは全くの誤解であり、むしろこれまで国際科で培ってきた海外留学や語学研修、JICAとの交流等のさまざまなノウハウを新たなコースに取り入れ、将来世界に羽ばたくグローバル人材を育てるという積極的な狙いなのです。
〝グローバルな視野と豊かな国際人の養成をはかる〟という趣旨で国際科が設置されたのは1985年(昭和60年)ですが、当時の日本経済は絶好調で、世界で一人勝ちと言われるくらいの状況でした。二度にわたる石油ショックを乗り切り、卓越した生産技術力を駆使して大量生産、大量販売方式のビジネス・モデルを確立し、国内の需要を喚起しつつ輸出の増大をはかっていったのです。この過程においては海外での販売を伸ばすことが企業にとっての重要課題であり、そのために語学力を有する人材が必要とされたのです。しかし、世界各国にとっては自動車や電機をはじめとする大量の工業製品の流入は現地の産業に大きな打撃を与え、貿易摩擦という問題を生じさせることになったのです。この事態を解消するために、多くの日本企業は相次いで技術移転を伴う現地生産に踏み切ることになりましたが、これが最終の姿ではありません。これからは、金融、流通、製薬、食品、情報通信、電機、自動車等あらゆる業界においてグローバル・ワン・マーケット(世界単一市場)が形成され、国を超えた企業の合掌連衡(がっしょうれんこう)が進むことになります。今回のアメリカに端を発した金融問題は世界各国に波及し、実体:経済にも深刻な影響が出はじめており、これを引き金にして更にこの動きが加速されることになるでしょう。そして、人・モノ・カネ・技術の流れは国境を超えて激しく動くことになります。この結果、日本国内の国際化という新たな局面を迎えることになるのは間違いありません。これからの時代には全ての人が国際感覚を身につけておかなければならないということになるのです。
今回の新たなコース制はこのような時代背景を考慮しグローバル化への積極的な対応をはかることを目指しているのです。