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これからの地球規模での課題~水問題

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  過去の歴史を紐解くと、世界の四大文明が全て大河のほとりに存在したという事実が証明するように、人間と水とは切ってもきれない関係にあります。人間は空気がなければ3分間、水がなければ3日間しか生きることができません。このように水は人間にとってなくてはならないものですが、人口の増加に伴って水が足りなくなってきています。世界人口は2025年には80億に達すると言われていますが、このうちの実に40%は深刻な水不足に陥る、と予測されています。
  地球は“水の惑星”と言われるほど水の多い天体ですが、ほとんどが海水で淡水は3%程度しかありません。しかもその大半が北極や南極の氷という形で存在しているため、湖や河川、地下水といった生活に利用できる形での淡水は地球全体の水の1%にも満たないのです。
  そして、これらの水は生活用水だけではなく農業用水や家畜を育てるために、または工業用水として使われることになります。これまで工業化が進んでいない国や地域では、水の大部分は農業や牧畜に使われてきました。ところが、工業化が進むと水はより生産性の高い分野に使われることになり、農業や牧畜に回らなくなってしまい、食料の確保がますます難しくなってきます。更に工場からの汚染された排水の増加、地球温暖化に伴う河川の水量の減少により、深刻な水不足に陥ってしまいます。まさに20世紀における石油と同様、21世紀は水をめぐる争奪戦が展開されることになるでしょう。
  わが国においては台風の影響で世界の年間平均降雨量の1.7倍にも当たる1700ミリメートルの降雨があるため、水が有り余っているという印象が強く水に関する危機感は薄いようです。
  しかし、今、日本は食糧の61%を海外から輸入しているため、これらをすべて国内で作ると膨大な量の水が必要になるということを知っておかねばなりません。これはヴァーチャル・ウォーター(仮想水)と呼ばれていますが、輸入した牛肉や小麦、大豆、とうもろこし等を育てるために使用される水の量は実に年間640億トンで、日本全体の農産物の生産に使われる灌漑用水の量をはるかに上回っています。特に日本は大量の水の輸入国であるという認識の上に立って、水や食料を大切にしていきたいものです。