安部司氏の講演より~添加物が日本の食文化を壊す
世界では日本食がヘルシーであるという理由で、大変な人気を博しており、アメリカの日本食店は1990年代の3000店からほぼ3倍になっていると言われています。また、醤油の消費量は1996年からの8年間で30パーセント以上増え、緑茶は倍増しています。更にユズ、エダマメ、ワサビなどの日本語はそのまま通じるようです。
しかし、日本では日本食離れが急速に進んできており、これと共に食料自給率も低下の一途を辿ってきています。そして、従来はあまり問題にされなかった欧米型の生活習慣病も年々増加してきています。この原因のひとつが、子ども達の味覚を壊す食品添加物にあると言われています。つまり、子ども達は塩分、糖分、油分が美味しさに変わるという錯覚に陥ってしまっているのです。今、食品業界では「これを入れないと売れない」という調味料のゴールデントリオと呼ばれるものがあるようです。これらは食塩(精製塩)、化学調味料(グルタミン酸ナトリウム),たんぱく加水分解物です。これに増量剤としてブドウ糖、乳糖、砂糖が加えられるのです。
例えばインスタントラーメンは国民食と呼ばれるほど我々の生活に溶け込んでいますが、この作り方は「塩」に「化学調味料」を加え、とんこつエキス、チキンエキスなどの「たんぱく加水分解物」を入れ、ホワイトペッパーなどの香辛料を配合し、さっぱりした後味にするために酸味料、とろみをつけるために増粘多糖類を入れて出来上がります。同じ要領でスナック菓子や昆布だしの素、お吸い物の素になります。そして、この3点セットはあらゆる加工食品に使用されているため、子ども達の舌が壊れるだけでなく、食事がいとも簡単に出来上がると思ってしまうことになります。
昔はどの家庭にも〝おふくろの味〟というものがありましたが、今の子ども達にとって、これが自分の家の料理であると自慢できるものはどれだけあるのかは疑問です。今一度、手づくりの味のすばらしさを見直していくべきではないかと思っています。