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侮れない新型インフルエンザ

養護教員研究会 (2).JPG
  先日の養護教員の研究会で、国立感染症研究所感染症情報センターの砂川 富正先生と土橋 酉紀先生に『新型インフルエンザについて』―兵庫県下の学校における経験および今後に向けて―と題して講演いただきましたが、大変参考になる内容が数多くありましたので紹介します。
①通常の季節性インフルエンザは咳、くしゃみによる飛沫や手などからの接触により感染する。
感染性のある期間は発熱の1日前から3~7日で症状が出たその日が最も感染率が高い。
②治療法としては投薬の他、安静と脱水症状にならないようにすることが大切である。
③インフルエンザウイルスは元は水鳥のウイルスであったが、今回の新型インフルエンザはこれまでヒト・ブタで見られたものとは異なった遺伝子構造を持っている。
④20世紀には3回のインフルエンザパンデミックが起きた。      
    ●1918-19年のスペイン風邪・・・約4000万人が死亡         
    ●1957-58年のアジア風邪・・・約200万人が死亡           
    ●1968-69年の香港風邪・・・約100万人が死亡
⑤現在の新型インフルエンザの患者は全国で2000人を超え、神戸・大阪で発生した患者数を上回っている。発症者がないのは山形県だけで、夏場になっても依然として消滅していない。
⑥7月7日にWHO(世界保健機構)は新型インフルエンザの患者数を報告する必要はないと通告したが、南半球を中心に患者数は急増している。また、アメリカでの推定感染者数は100万人 と言われており、死者も100人を突破している。
⑦兵庫・大阪の学校閉鎖は流行の広がりを阻止するのに非常に有効であった。
今後、学級・学年・学校閉鎖の規模や期間、また部活動や学校行事の自粛等についての検討が必要である。
⑧新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同様軽症が主だが、肺炎を起こす可能性が高いことが判明しており、重症化する恐れもある。
⑨実際はどうなるか分からないが、今秋~冬にかけては今より以上に流行することが予想される。東北大学の押谷教授は、日本全体で3000万人くらいの感染者が発生し、死亡率は通常のインフルエンザより高くなると予想されている。
⑩対策としては「ワクチン」「抗ウイルス薬」「検疫強化」「公衆衛生上の対策」等があるが、マスク着用による飛沫予防や手洗いの励行等による接触感染防止といった「個人防御」も大切である。

  新型インフルエンザを侮ると、いつ大変な状況に陥るかも知れません。〝正しい知識が恐れを払拭する〟という言葉がありますが、過去のパンデミックからの教訓を生かし、新型インフルエンザに対する警戒を怠らないようにしなければならないと思っています。