人口爆発と経済発展
環境問題には、食料、水、エネルギー、ゴミ、温暖化、異常気象、酸性雨、砂漠化、河川・海洋・土壌の汚染等さまざまなものがありますが、これらの底流にあるのは急激な人口増です。しかし、日本は人口が減少してきているため、世界の人口も減少していると思っている人が案外多いのです。
現在の世界の人口は既に68億人を超えていますが、この推移を見ると200年間に6倍以上、100年間に約4倍になっているのです。これを10億人単位で見ていくと、●1802年・・・10億人、(○1900年・・・17億人)、●1927年・・・20億人、●1960年・・・30億人、●1974年・・・40億人、●1987年・・・50億人、●1999年・・・60億人 ということになります。とりわけ1960年以降、人口が10億人増えるのに要する年数が14年、13年、12年と短縮されてきていることが分かります。
一方で、この100年間の世界経済を見ると先進国において急速な発展を遂げ、これらの国の人々は豊かな暮らしを享受するようになりました。しかし、近年BRICsをはじめとする国々が急速な経済発展を見せ始めました。BRICsというのは広大な国土と人口を有し、今後大きく成長が見込まれる国として注目を集めている国の頭文字を取ったもので、B:ブラジル R:ロシア I:インド C:チャイナ〔中国〕の4国を指しますが、とりわけ中国の発展は目覚しく、間もなく日本を抜いて世界第2位の経済大国になるのは間違いありません。これに続くものとしてVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ連邦・トルコ・アルゼンチン)も注目を集めています。そして、これらの国々が今後経済発展を続け生活水準が上がると、ますます環境問題がクローズアップされることになります。
振り返ってみると、20世紀は大量生産、大量消費、大量廃棄という経済モデルが確立された時代であり、これまで何億年何千万年もかかって蓄積されてきた貴重な資源の大半をすべてこの100年間余で費消してしまったと言えます。この経済モデルがいつまでも継続できるはずはありません。
まさに今は転換期であり、新たな枠組みを構築しなければならなくなってきているのです。我々はまずこのような現状をしっかりと理解しておくことが大切であると思っています。