大阪府教育委員就任にあたって
(2009年10月2日 神戸新聞 了解済み)
本日10月1日付で大阪府の教育委員に就任することになり、橋下知事から辞令を拝受しました。主な仕事は、月一回および臨時の教育委員会会議に出席して〝大阪府の教育行政の基本計画や基本方針の決定を行なう〟というものです。これ以外にも学校視察、市町村教育委員会との意見交換会、知事との意見交換会、府議会への出席等があります。現職を継続しながらの勤務になりますので、ますます多忙になりますが、世の中にお返しするという気持ちで取り組んでいきたいと思っています。
振り返りますと、8年前にパナソニック(株)を退職し、大阪府初の民間出身の校長として、大阪府立守口北高校(兼)芦間高校の校長として4年間勤務させていただきました。その後、雲雀丘学園中学・高等学校校長として4年目を迎えています。この8年間、教育の仕事に従事させていただいた感想を一言で表わすなら〝このままの状況では日本の将来は危うい〟ということです。
今、世界はグローバル化や情報化の急速な進展に伴い、大きく変化してきています。特にリーマンの破綻に端を発した今回の恐慌によってアメリカの一極集中体制が崩れ、BRICs諸国を中心とする多極化体制への移行が進みつつあります。また、人口爆発による環境問題、食料・水・エネルギー・資源の争奪といった問題も今後深刻さを増してくることが予想されます。
これまでわが国は高度な技術力に立脚した自動車や電機、工作機械に代表される物づくりによって世界をリードしてきました。そして、これを支えてきたのは高い専門知識やスキルを有する人材であったのは間違いありません。しかし、ゆとり教育の導入や子ども達のハングリー精神の欠如等の結果、日本の子ども達の学力は国際比較においてここ数年顕著に低下してきています。このままでは技術立国としての地位は揺らぐことになり、さまざまな産業においての空洞化が進むことになります。
広大な国土にも、豊かな資源にも恵まれない日本が今後世界から認められていくためには〝世界に通用する骨太の人財(材)の育成〟をはかり、技術立国を目指していかなければなりません。このように考えると、二十一世紀における日本の最大の課題は『教育』ではないかと思います。私も微力ながら高い志を持って〝将来の日本を背負って立つ人材〟を育成していきたいと決意していますので、今後ともご指導、ご鞭撻賜わりますようお願いします。