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日本の文化~鏡餅と門松~

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  新年を迎えるにあたって鏡餅の飾り付けをされた家庭も多いと思います。そもそも鏡餅は神様にお供えしてからいただく尊い餅であり、神様と人を仲介するという意味を持っています。では、なぜ重ねた餅を鏡餅と呼ぶようになったのでしょうか。それには二つの理由があります。 一つは丸い餅の形が昔の銅鏡に似ているからです。古来より、鏡は神様が宿るところとされていたのです。二つは鏡餅の「鏡」は「鑑みる(かんがみる)」。つまり良い手本や規範に照らして考えるという意味の言葉にあやかり、「かんがみもち」とよぶ音が次第に変化して鏡餅になったと言われています。 更に、鏡餅の丸い形は家庭円満を表し、重ねた姿には一年をめでたく重ねるという意味もあるそうです。いずれにせよ祈りと一年無事であったことを感謝する気持ちを込めて飾る行為は日本人が永年引き継いできた固有の文化なのです。また、鏡餅の上に載せる橙(だいだい)は木から落ちずに大きく実が育つことにあやかって、代々家が大きく栄えるようにという願いが込められており、鏡餅の下に敷く裏白(うらじろ=シダ)は古い葉と共に新しい葉が次第に伸びてくるので、久しく栄えわたるという縁起をかつぐものです。
  また、注連縄と共に玄関先に飾る門松は古来より松、椿、榊などの常緑樹には天から神が降臨して宿るという神道の精神に基づいています。つまり松、竹などを門口に立てることにより、それに神を降臨させて家の入り口を清め、新年を迎えるという意味なのです。 門松は平安時代に中国から伝わり、現在の様式が決まったのは室町時代と言われています。また竹の先端が斜めにカットしてある「そぎ」と呼ばれるものがありますが、この風習は徳川家康が始めたようです。家康は戦上手であったと伝えられていますが、生涯唯一の敗北として知られる「三方ヶ原の戦い」(1572年)では武田信玄の騎馬軍団に完膚なきまでに叩きのめされました。この戦いの後、信玄に対して次は斬るぞという念を込めたのがこのそぎの始まりであると言われています。
  何気なく行なっているお正月の準備にもそれぞれ理由があり興味深く感じています。