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先人の言葉(森信三 Ⅱ)

  本校の校訓は『高志・自律・努力』ですが、いつの時代にあってもこの三つは人間として非常に大切なものではないかと思います。とりわけ志を立てるということがすべての源であるのは間違いありませんし、過去・現在を問わず社会で認められている人は例外なく高い志を有しています。私の座右の銘の一つは民間企業に勤務している時から『高い志が道を拓く』というものでしたが、本校の校訓の一番目が〝高志〟であるということを知って不思議な縁を感じました。
  今、世の中は大きく変わりつつあり、かつての日本の元気な姿が見られなくなってきていますが、これと共に高い志を持った人も少なくなってきているように思えてなりません。周囲のことや後世のことを考えずに自分の損得や目の前のことだけにとらわれて行動していると、何事もうまくいかなくなってくると思います。
  私は、これまで見聞きした志に関する先人の言葉を書き留めてきました。昨年末からこれらのカードや手帳を取り出して整理していますが、参考になるものがたくさんありますので、順次紹介していくことにします。先般も紹介した教育界の大巨人であった森信三氏は『修身教授録』の中で、次のように語っておられます。
  
  〝私は、人生の真の出発は、志を立てることによって始まると考えるものです。 (中略) 人間はいかにいきるべきであるか、人生をいかに生き貫くべきであるかという一般的心理を自分自身の上に落としてきて、この二度とない人生をいかに生きるかという根本目標を打ち立てることによって、初めて私達の真の人生は始まると思うのです。人間が志を立てるということは、いわばローソクに火を点ずるようなものです。ローソクは火を点けられて初めて光を放つものです。同様にまた人間は、その志を立てて初めてその人の真価が現れるのです。志を立てない人間というものは、いかに才能のある人でも、結局は酔生夢死の徒にすぎないのです。〟
  実に味わい深い言葉だと思います。

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