日本経済の動向~1~3月の産業天気図
日本経済新聞社は3ヵ月に一度、主要30業種の景気予測を『産業天気図』という形でまとめています。これは各業種の生産、販売、操業率、収益等のデータに基づいて、天気を「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」の5つに分類するというものであり、先日2010年の1月~3月の予測が発表されました。これによると「晴れ」の業種はゼロ、「薄日」は家電とネットサービスの2つ、「曇り」は<鉄鋼・非鉄><電力><化学><プラント・造船><電子部品・半導体><情報><通信><自動車><精密機械><コンビニエンスストア><ドラッグストア><アミューズメント>の12業種、「小雨」は<石油><紙・パルプ><繊維・アパレル><食品・飲料><医薬><貨物輸送><リース><外食><旅行・ホテル><広告><人材派遣>の11業種、そして「雨」は<建設・セメント><マンション・住宅><産業・工作機械><百貨店><スーパー>の5業種となっています。
今回の結果は主要30業種中29業種が前回の調査(2009年10月~12月)と同じ景気判断となっており、回復傾向は足踏みしています。鉄鋼や化学、電子部品等の業種で生産増が続き、自動車と家電では「エコカー減税」や「エコポイント」等の政策効果によって堅調な販売が続いています。また、一部の業種では中国やインド等の新興国向けの輸出が増加してきていますが、欧米市場の低迷と円高によって収益の改善効果は限定されています。更に雇用への不安に加え、冬のボーナス減で消費者の節約志向は強まっており、百貨店での高額商品やスーパーでの冬物衣料品は販売不振、外食産業も自宅での食事を摂る傾向が定着し苦戦しています。
このように消費者の低価格志向がますます顕著になる中で、各社は智恵を結集して経営改革を進めているのです。これらの取り組みについては興味深いものが数多くありますので、順次紹介していきたいと思います。